2022年度理事長所信

和田 光平氏の写真

2022年1月1日

未来を創るのは俺たちだ!

 

「はじめに」

私の出身は、福井県敦賀市であり、熊本県玉名市に現在籍を置いているのは、私の亡き母が最期の言葉として私に託した、「熊本の実家を守って」という言葉と、玉名市天水町で事業を54年に渡り営んできた祖父からの「跡を継いでほしい」という言葉によるものです。私の先祖がこの玉名市天水町に住み暮らし、福井県で生まれ育った私がこの地で生きていることは「運命」であり、その運命を玉名青年会議所は受け入れてくださいました。そして、在籍する中で、この玉名青年会議所を立ち上げた初代理事長である「林 博明」先輩は私の親戚であるということを知り、大きな運命を感じずにはいられませんでした。初代理事長が玉名青年会議所を設立したのは戦後の復興さなかの日本において、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という理念のもと発足された日本青年会議所の「理念」に共感し、県内各地の青年会議所の皆様からご支援を賜りながら設立したと聞いております。また、非常に熱い想いをもって玉名青年会議所を設立したということは、親族からも「変人」と呼ばれるほどの行動と熱意だったということも聞き及んでおります。玉名青年会議所に在籍されている皆様にも必ずその「縁」と「運命」が存在しているのです。青年はまだ人生の中で完成されていない存在かもしれませんが、それぞれの時代に何かをより良く変化させるために傾けることのできる力を持っています。現在の日本は2020年以降今までの常識では考えられなかった悪影響により、多くの人々が悩み、苦しんでいます。それでも、長期的により良い地域になることに力を傾けなければ、地域だけでなく日本は衰退の一途をたどるのではないでしょうか。私たちができることは多くはないのかもしれないですが、「学び」「挑み」「結束」することができる貴重な時間を地域の発展のために行動を起こしていく必要があります。

 

「創立65周年という節目に今を見つめなおすこと」

玉名青年会議所は2017年の60周年において10年長期ビジョンとして「マラソンを活用したまちづくりの実施」を掲げました。このビジョンは玉名市の名誉市民である金栗四三氏の残した多くの功績や地域の特色として根強く印象付けることを目的としたものであり、そこから生まれる地域の賑わいと経済活性化につながるコンテンツとして玉名地域のもつ可能性を示すものでした。このビジョンを基に2017年12月には、玉名青年会議所からフルマラソン大会の設立を玉名市に提言し、2018年2月にフルマラソンを設立することが玉名市長により発信されました。その大会を2020年2月に第1回開催とし、「横島いちごマラソン」のフルマラソンの部として「いだてんマラソン」を設立し、開催を目前に控えておりましたが、新型コロナウイルスの影響により開催がかなうことはありませんでした。昨年の2021年も同様に開催は断念されました。

このことにより、当初描いていた経済効果や地域の賑わい、玉名の魅力としての特色を印象付けるといった効果につなげることができていません。しかし、2021年10月には全国で新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言も解除され、今後のマラソン大会やマラソンの在り方について日本全国の動向を調査し、地域のマラソン大会開催に関する意識調査を行ったところ、全国的には各都道府県が行ってきた市民参加型のマラソン大会が開催に向けた兆しを見せ、玉名地域の意識調査やSNSでは、多くの声として、地域に根付いたマラソン文化をさらに盛り上げ、今後もますますマラソンを通して地域の賑わいを広げていくべきだという回答でした。これから先代と共に作り上げたこのビジョンをより具体的に次のステージに押し上げるため、現状を踏まえ、持続可能なより良い地域の未来のために玉名青年会議所の力を結集し、新たなアイデアをマラソンを活用したまちづくり運動に取り入れ、地域一体となった今後のマラソンを活用したまちづくりの方向性を再度発信いたします。

 

「脱炭素社会の実現に向けた推進と環境保全」

脱炭素社会とは、二酸化炭素の排出が実質ゼロとなる社会のことであり、温室効果ガスである二酸化炭素は、地球温暖化の原因と考えられています。そのため、二酸化炭素の排出量を可能な限り減らし、脱炭素社会を実現することが、地球環境を守るために重要です。この玉名地域でもバイオマスエネルギーへの挑戦を行う企業や、SDGsを推進する企業が増加してきていますが、このように社会に影響を与えていくのは、企業が行うビジネスだと考えています。現在、大企業が中心となり大々的に脱炭素社会に向けた取り組みをPRしていますが、日本は99.7%が中小企業で成り立っている国であり、玉名地域も例外ではありません。この中小企業が変化なくビジネスを続けることは、今後の社会で大きなゲームチェンジが起きる時代に備えることができません。この世界的な取り組みに対し目標や指針を示していく地域行政の役割と、時代の変化を敏感に捉え、思考と行動を共にする企業努力を通して脱炭素社会を実現するためさらに飛躍、前進していかなければ、近年多発している自然災害や地球温暖化などの深刻な問題を解決することはできません。今後青年会議所はこの問題に果敢に挑戦する組織となり、明るい豊かな未来の社会像を模索し、提案し、実現するために「挑戦」と「パートナーシップ連携」を行っていくことで脱炭素社会の実現を目指して参ります。

 

「災害に対してしなやかに生きのびる力を養う青少年の育成」

近年熊本県では自然災害が多発しております。近年の気候変動や、活断層による大規模地震などが発生するリスクは常にあり、自然災害を防ぐことはできません。しかし、事前準備と心構えにより、災害時に自分の命を守ることや誰かの命を救うことは不可能ではありません。玉名地域は近年の状況を踏まえても大規模災害に直面することはなく、大きな被害が発生した経験はありませんが、災害はいつ、どこで起きるかわからないものであり、災害が少ないなら備えなくていいということでは決してありません。私たちは子どもをもつ親世代である以上、未来の地域を担う子どもたちが生きのびることができるための教育を行っていかなければなりません。「自助・共助・公助」という言葉が示すように、災害にはまずは自分の力で生きのびることが優先であり、生きのびることができれば共助につながり、その後の生活の安定を公助が行います。まずは、自助・共助につなげるために事前準備と心構えの重要性を伝える青少年育成事業を行います。

 

「多様性を受け入れ誰もが認め合うことのできるリーダーの育成と会員拡大」

日本には古来より男女差別やいじめ、障がいをもつ方々が豊かな生活をすることが難しいなどの問題解決がなかなか進まない状況が続いています。近年では、ジェンダー平等やダイバーシティといった概念が真剣に議論されるようになってまいりました。今後も議論を深めこの問題に取り組んでいく必要があり、そのために多様な方々が地域で生活し、働くことができる環境づくりを積極的に考え、推進するリーダーの育成が必要であり、そのために必要なことは相手のことを理解し、認め合うことです。

青年会議所メンバーはさまざまな業種、職種で活躍する若い経営者や組織の幹部を担っている人材が多く、そのような人材の集まりであるからこそ、これからの社会をより良くするために良好な人間関係の構築を学び、問題解決に寄与する人材育成の生涯学習(リカレント教育)を取り入れるべきです。

また、同様に会員拡大においても多様性を認めることで、組織の深みが増し、より地域社会にインパクトを与える事業や活動を展開することができます。青年会議所活動には個人の時間や費用が発生しますが、その中で各メンバーが感じるスケールメリットはそれぞれ違います。自分の価値観と他人の価値観は違うことを認め、人間としての成長やビジネス、人脈形成といった幅広いスケールメリットを存分に感じていただくためにも多くの学びや経験ができる組織へと変革し、各々が真に個性を発揮し、拡大候補者の皆様に貴重な時間を預けていただけるよう、玉名青年会議所の魅力を積極的にお伝えする会員拡大を展開します。

 

「ムリ・ムダ・ムラを徹底的に排除し、本質的な議論を創出する組織運営」

玉名青年会議所の中で行われる各種会議やその準備及び管理において、不備というものを排除していかなければ、本質的な議論を展開することはできません。また、その不備が発生している原因があり、その明確な答えを出さなければ問題は解決いたしません。これまで起きていた不備を再度見つめなおし、ムリ・ムダ・ムラと言われる作業や行動を徹底的に排除するための議論と仕組みづくりが必要です。

また、誰もが理事役員に挑戦することができる環境づくりにも目を向けなければなりません。そのためには、各種資料を統一し、会議運営及び事業説明において必要とされるものを様式としてまとめる必要があります。様式は進化し続けていく必要がありますが、理念や目的は統一されるような整合性を持たせて行くことも重要です。近年柔軟な会議運営としてWEB会議等も行われるようになりましたが、WEB会議は新型コロナウイルスの影響で普及した部分はありますが、新型コロナウイルスの対策のために開発されたものではありません。このシステムが開発されたことの必然性をより理解し、使い分けを行うなどの有効的な利用に柔軟性を持たせる必要があります。

そして、本質的な議論や学びを全メンバーはもちろんより多くの方に発信することで、玉名青年会議所のブランド力を上げていかなければなりません。そのためには学びの機会を年間通して提供し、その内容や玉名青年会議所の考えを常に発信することも重要です。様々なツールを駆使し、地域に必要とされる情報発信を行います。

さらに、青年会議所の活動は、メンバーの皆様の年会費により運営されます。皆様の年会費が真に本質的な活動に寄与しているかを徹底的に審査し、地域に還元できる事業に金銭的サポートをいただけるような仕組みづくりを行ってまいります。

また、玉名青年会議所にはセクレタリー制度があり、その重要な役割は、主に書記にあたります。この書記に関して、精度を高めつつムリ・ムダ・ムラを徹底的に見直し、セクレタリーとして得られる経験や知識または人脈を明確にし、その重要性を高めます。

 

「むすびに」

これからの社会はどう変化していくのか、真に豊かな社会とはなんなのだろうかという疑問を常に思考し、問題提起し、行動を起こす。目の前の現実をより良いものに変化するために、青年会議所の成り立ちを今一度見つめなおし、未来のまち、未来のひとの姿を思想し、戦略を練ることで私たちの住む社会も必ず明るい豊かな社会へと変化するはずです。皆さんの思考が変わるためにはまずは自己成長を遂げなければなりません。自己成長とは各々が自分の意思で決定するものですが、私は青年会議所を通して得られる思考の変化は必ず自分、家族、会社、組織、地域をより良くすると確信しています。青年会議所は単年度制ですが、私たちが目指すものは本質的には未来をより良くする事のはずです。私は玉名地域の未来のために、今何ができるのかを考え実践することができる唯一無二の団体が玉名青年会議所であると確信しています。これから10年、20年と玉名地域が住みやすい、楽しめる、安心できる、働き甲斐のある、魅力のある地域に変化するためにメンバーと共に思考し、行動して参ります。